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生蓮寺住職 高畑公紀さんに学ぶ
〜 五感で楽しむ蓮図鑑 〜

投稿日 2020.08.19

神秘的で美しい花を咲かせる蓮は、仏教の世界でも度々その姿を表します。その気品あふれる花を眺めているだけで、人は不思議と心が洗われるような、安らかな心持ちになるものです。蓮と仏教のつながり、そして蓮に秘められた効能を知ることで、これからの人生を、より美しく心健やかなものにできるかもしれません。
今回は、蓮の魅力に魅せられ、自ら蓮の研究を行う、生蓮寺住職 高畑公紀(たかはた きみのり)さんの講話をご紹介します。記事の末尾には講演会の動画もありますので、是非ご覧ください。

多彩な蓮の種類

蓮には多くの品種があり、現在は2000品種以上の蓮があります。簡単に交配ができますので、自分だけの品種をつくることも可能です。
生蓮寺住職 高畑さんは蓮を品種改良し、寺院に人が多く訪れるお盆頃に花がもっとも盛んに咲く『生蓮寺華蓮(しょうれんじかれん)』を生み出しました。淡い桃色が美しい蓮です。お彼岸を超えても咲いており、長期間に渡って寺院に訪れる人々を楽しませてくれます。
蓮は咲き初めと終わりでは、色が大きく変化する品種があります。時期によって違った表情をみせてくれる蓮の花は、その時々の私たちの心を癒し、美しく語りかけてくれます。

蓮の種の脅威的な生存期間

蓮には強い生命力があり、蓮の種は2000年間も生き続けられると言われています。その強い生命力から「蓮には長寿と若返りの秘密があるのでは?」と、科学者の間では蓮の遺伝子研究が現在も進められています。
もしかしたら、近い将来、蓮から長寿や若返りのヒントが見つかるかもしれません。

蓮の実と葉の効能とは?

そのように生命力が強い蓮の実は、古くから滋養強壮の漢方薬としても用いられています。蓮の実の味や食感は栗に似ています。若い蓮の実は、生のまま食べることもでき、ほのかな甘さを感じられます。ご飯と一緒に炊いた蓮の実ご飯や、スイーツとして甘露煮にしても美味しくいただくことができます。蓮の葉はお茶として販売されています。凝った調理の必要もなく、手軽に美味しく食事に取り入れることができます。
蓮の実には下痢や食欲不振を治す働きや気持ちを鎮める働きがあり、不眠や動悸にも良いとされています。蓮の葉にはガン・精神安定・高脂血症・糖尿病・肥満に良いとされ、中国では「美人のお茶」として蓮の葉のお茶が飲まれています。種子(胚)には、精神安定・アルツハイマー・動脈硬化・糖尿病・抗炎症・抗酸化・不整脈に効果があるとされています。
このように、蓮には健康を維持するために、多くの薬効があることがわかります。

仏教経典から蓮の花が教えてくれること

では、次は仏教の観点から蓮を見てみましょう。
仏教経典の一つ維摩経(ゆいまきょう)には「高原の陸地には蓮華を生ぜず。卑湿の汚泥に花を生ずる」とあります。
蓮の花は、じめじめした低湿地の泥の中で育ちます。涼やかな高原の陸地はおろか、泥を離れては蓮の花は咲くことができず、泥があって初めて美しい花を咲かせてくれる、という意味です。
泥のような迷いや苦しみが多く、矛盾に満ち溢れた私たちの生活の中にこそ、仏教の真理に目覚めていく道があると説かれているのです。自分自身の煩悩を見つめる目が深ければ深いほど、他者の苦しみに共感する心を持つことができます。
今のあなたの状況がたとえ泥の中のように辛い状況でも、必ず将来はあなた自身の綺麗な花を咲かせることができると、維摩経(ゆいまきょう)は蓮の花を通じて私たちに教えてくれています。
仏教には「迷いなき者に悟りなし」という格言があります。迷いがあるからこそ、その対極として悟りがひらかれます。そのことを、蓮の花は身をもって体現しています。

蓮の瞑想、阿字観(あじかん)で内側から綺麗に

真言宗には阿字観(あじかん)という瞑想方法があります。
真言宗は平安初期に弘法大師空海により開かれ、世界遺産にも登録されている高野山が修行の場となっています。瞑想により「自己と世界がひとつである」ことを実感することが目的です。禅宗では壁に向かうなどして瞑想しますが、真言宗の阿字観では、本尊(満月の中に蓮が浮かび、その上に梵字のア)を前にして行います。阿字観は蓮と一体化できる瞑想法です。
阿字観を行うことで、心を落ち着かせ、日々のストレスを解消し、内側から綺麗になることができるでしょう。阿字観の体験は、和歌山県の高野山真言宗総本山金剛峯寺や、東京都港区にある高野山東京別院などで体験することができます。

蓮の力で疲れを癒し、明日への活力を補充する

蓮はその美しい姿で私たちの心を癒してくれるだけでなく、美容や健康に良い食べ物として私たちの体を労わり、更には仏教の経典のなかで困難に負けない力強い生き方を示してくれています。
皆さんも、たくさんの魅力を持つ蓮の力で日々の疲れを癒し、身も心もゆったりと綺麗になられてはいかがでしょうか?
懸命に生きるその先には、きっと、蓮の花のような喜びという美しい開花が待っていることでしょう。


生蓮寺住職 高畑公紀(たかはた きみのり)
奈良県五條市1977年生まれ 。京都大学大学院 生命科学研究科卒業(生命科学博士)高野山真言宗 総本山 金剛峯寺での法話や瞑想を指導している。
著書『五感で楽しむ蓮図鑑』(淡交社 / 2018年)


野村みどり

ライター / プランナー

野村みどり (ノムラ ミドリ)

「日比谷花壇のペット葬」WEBサイトにて、コンテンツの企画・編集・ライティングを務める。オハナクラブでは、自身の経験を踏まえ、娘世代から見た父の終活を題材にした連載コラム『父の終活と母の形見』を執筆。その他 イベント企画から取材記事まで幅広く担当している。

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