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大切な遺品の着物をリメイクする 
〜 新たな形にして受け継ぐ方法 〜

投稿日 2020.11.24

大切な遺品の着物をリメイクする 〜 新たな形にして受け継ぐ方法 〜
左から : あきざくらの山村沙世子さん、ご注文者の丸山利昭さんとそのご家族

着物をリメイクして新たな物へ

「母の遺品で着物がたくさんあるが、着る機会も少ないし、場所もとるのでやむを得ず手放した」という話を、度々耳にすることがある。
普段から着物に慣れ親しんでいる人ならまだしも、着物に触れる機会が少ない人は、着物に価値があることはわかっていても活用できず、場合によっては売り払うか廃棄せざるを得ない。しかし、故人の想いが詰まった着物を手放すのは心苦しく、あとあと後悔する人もいるようだ。

そのようななかで、いま注目を集めているのが “ 着物をリメイクして受け継ぐ ” という方法だ。
着物を別の形にすることで、より活用していく、という考え方は多くの人たちに受け入れられ、遺された着物の新たな活路としていま話題を呼んでいる。

遺された着物の新たな可能性とは?

遺品の着物を日傘に!?

「母が亡くなり、いざ家を整理しようとしたとき、たくさんの着物が遺っていてどうしていいのかわからなかった」と話すのは、今年の8月に母親を亡くされた丸山利昭さん。
利昭さんは母親の葬儀を、日比谷花壇が運営する家族葬ホール『花ときわ』(埼玉県さいたま市浦和区常盤3-22-5)にて執り行った。葬儀を無事に終えたあと、遺品整理をしなければならなくなったとき、たくさんの着物が遺品として遺されていることに気付いたのだった。
そうしたときに、葬儀の担当者だった日比谷花壇の金澤和央から、葬儀のアフターフォローとして提案されたのが、着物をリメイクし日傘として受継ぐ方法だった。

実は以前、利昭さんはその日傘を目にしたことがあった。金澤の提案により、ふと思い出されたのは、以前、展示会で見かけた着物日傘ブランド『あきざくら-AKIZAKURA-』の、遺品着物をリメイクした美しい日傘だった。
「そのときに見た日傘が、物凄く印象的だったんですよ」
少し興奮気味に、利昭さんは言った。
「これは凄いな、と感動して。そのことを思い出して家族に話をしたら “ 私も丁度この間テレビであきざくらさんの日傘を見たわ ! すごく素敵だった ! ” と言われて(笑)」
奇遇にもご家族もテレビ番組を見て、あきざくらの日傘に興味を抱いていることを知ったのだった。
そして、丸山さんご家族は協議の末、日比谷花壇からあきざくらを紹介してもらい、遺品の着物はリメイクして受け継ぐことに決めた。
「タンスの肥やしにするより、使えるものに変化させたいじゃないですか」利昭さんは、そう言って笑顔をみせた。

世界に発信する、着物リメイク日傘ブランド

『あきざくら-AKIZAKURA-』は、2017年に設立された日本の着物リメイク日傘ブランドだ。顧客の要望に応じて、傘だけでなく、着物から様々な小物へのリメイクも行っている。現在は、日本だけに留まらず、海外にもその活動の拠点を広げている。
「人に対して愛情をもって接するとか、物を愛する、それが本当の豊かな人生じゃないかと思っています」そう話すのは、代表である山村 沙世子さんだ。
「物は様々な人の手によって、想いを込めてつくり出されています。そして、また別の人の手に渡り、その人の想いと共に使われていきます。着物はつくっている職人と、使ってきた人の想いの集合体といえるでしょう。私は、あきざくらをとおして物を大切にするという機会をお客様へご提供させていただくなかで、着物というその想いの集合体を大切にするという行為が、人を大切にできる心を育むということにも繋がるのではないかと考えています」
山村さんはひとつひとつ、丁寧に言葉を紡ぐようにその想いを語った。

遺品の着物には、つくった職人と、故人の想いが詰まっている

熟練の職人技が美しい日傘を生み出す

着物からつくられる日傘をはじめとするリメイク品は、すべて職人が手作業で制作するため完成までおおよそ1ヶ月~1ヶ月半程度の時間を要する。その間に、デザインやサイズ感の細かい調整や確認などが山村さんを架け橋にして行われるが、まずは最初の打ち合わせで大まかな方向性は確定される。山村さんはひとつひとつ丁寧に、顧客の要望を汲み取っていく。

今回、丸山さんご家族が持参した着物は、小紋や付け下げ、留め袖など全部で10着ほどだ。そのほかに帯も数点、どれも美しい絵柄が描かれている。打ち合わせスペースにそれらの着物を広げると、その美しさに皆が息を飲み、場が一段と華やいだ。
「すごく可愛い」「この着物、素敵」「センスが良いわ」
丸山さんご家族は並べられた着物を眺めながら、改めてその美しさに溜息をついた。
「母は、昔はよく着物を着ていました。昔の人間ですから、学校の参観日とか必ず着物で来ていましたよ」利昭さんが着物を眺めながら、懐かしそうにそう話してくれた。時代を超えて故人が遺した着物の美しさに見惚れながら、遠い昔の記憶と故人の面影がご家族の心に蘇ったようだった。

どのような美しい着物でも、どの部分の布を切り取って使用するかによって、完成品の印象は変わってくる。特に訪問着や付け下げの場合は、どこを切り取るかによって絵柄の入り方に大きな差が出てくるようだ。
「ご要望をおうかがいしながら、絵柄の配置を検討します。柄が多すぎるのは嫌というお客さまもいらっしゃいますし、そういった場合はご相談の上、限定した箇所にだけ柄を入れることもあります」と山村さんが説明してくれた。
また、日傘はひとつの着物から二本までつくることができるという。そのため、例え虫食いがある着物でも、1本の日傘をつくるだけなら然程問題にならない。
大切な着物でも、年月と保存状態によっては多少の劣化はよくあることだろう。リメイクすることで劣化した部分を取り除き、美しい状態で受け継ぐことができるのも、リメイクするひとつのメリットと言えるのかもしれない。

ありし日の祖母の着物姿を思い浮かべながら、談笑するお孫さん

扇子 ・ バック ・ 帽子 ・ テディベアまで
着物をあらゆるものにリメイク

最近は、日傘以外に扇子へのリメイクも人気だそうだ。
「扇子は使いやすいですし、自分たちで使用するだけでなく、ご親族などへも配りやすいのだと思います」と山村さんが教えてくれた。
確かに形も値段も比較的コンパクトな扇子は、贈り物に最適だろう。法事の返礼品としても利用される人が多いという。
「この帯で、キャップはつくれませんか?」
お孫さんから、思いがけないリクエストが入った。
「いままで、つくったことはありませんが……」山村さんは驚きながらも、少し考えてから「帽子職人さんに確認してみます」と笑顔で応えた。

簡単には手放したくない豪華な帯は、何にリメイクできるだろうか?

あきざくらブランドとしては日傘と扇子を提供しているが、顧客から様々な要望があるのも事実のようで、これまでも様々な物へリメイクしてきたようだ。
「スカートにしたり、テディベアにしたり、今回の帽子にしてもそうですが、いただいたお話は基本断らないと決めています。日本の職人技でつくられている良い物を使う体験をしていただきたいので日傘や扇子といった物をメインでやってはいますが、それでも日常使いできる何かに変えて大切な思い出を身近に置いていただけるのであれば、そこは何でもつくれるようにはしています」山村さんは朗らかにそう言った。

打ち合わせは1時間半程度で終わり、日傘5本とその他小物数点がつくられることが決まった。
終始和やかな雰囲気のなか、故人が大切にしてきた着物がどのように生まれ変わるのか、丸山さんご家族も胸をときめかせているのが感じられた。
「楽しみにしています」打ち合わせが終わると、丸山さんご家族は笑顔でその場を後にした。

新しい形で受け継がれていく

1ヶ月半ほど経った頃、出来上がった日傘が丸山さんご家族の元へ届けられた。
「わぁ、綺麗 ! 」
日傘を見た瞬間、その美しい仕上がりに思わず全員の口から歓喜がもれた。50年前の着物が、日傘として新しく生まれ変わっていた。
形を変えても、着物の生地に宿る故人の面影に、皆が感動しているようだった。
「おばあちゃんの着物だ」
日傘を手にしたお孫さんの瞳から、思わず涙がこぼれ落ちた。
受け継いだ着物をリメイクすることで、遺族の暮らしに寄り添った身近な物として、新たな価値を与えられる。新たな命が吹き込まれた物は、そうしてこれからも大切に受け継がれていくのだろう。
故人が遺してくれた大切な遺品。そこに込められた故人の遺族への愛情や想いを、新たな形に進化させることで改めて大事に受け継ぐことができたなら、きっと故人もあの世で喜んでくれるに違いない。

今回、着物から日傘へのリメイクを提案した日比谷花壇の金澤は、ご遺族への葬儀後のアフターフォローについて、このように語る。
「日比谷花壇はお葬式だけでなく、アフターフォローにも丁寧に向き合いたいと考えています。一般的なアフターサービスというと、仏壇やお墓、香典返しの手配などがありますが、今回のような、皆様が笑顔になれるサービスもご提案をさせていただきます。今後もパートナーを広げ、お客様の気持ちに寄り添ったサービスをつくっていきたいです」

日比谷花壇のオハナクラブでは、『あきざくら-AKIZAKURA-』と共に遺品着物のリメイクをお手伝いいたします。ご興味のある方は是非お問い合わせください。

着物からつくられた日傘は、生地の色や柄により様々な美しさが生まれる
高級感漂う、帯からつくられたタブレットケース
いま人気の扇子は、様々な柄で手軽に楽しみたい
豪華な帯でつくられたキャップは美しく個性的
受け継がれた美しい着物が、日傘となって生まれ変わる
左から : 日比谷花壇の金澤和央、ご注文者の丸山利昭さんとそのご家族、あきざくらの山村沙世子さん

『あきざくら-AKIZAKURA-』着物リメイク
【参考価格】日傘:55,000円 / 扇子13,200円 / バック 7,700円〜
※詳しくはオハナクラブまでお問い合わせください。

野村みどり

ライター / プランナー

野村みどり (ノムラ ミドリ)

「日比谷花壇のペット葬」WEBサイトにて、コンテンツの企画・編集・ライティングを務める。オハナクラブでは、自身の経験を踏まえ、娘世代から見た父の終活を題材にした連載コラム『父の終活と母の形見』を執筆。その他 イベント企画から取材記事まで幅広く担当している。

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